特定調停(とくていちょうてい)とは、借金の返済で困っている人が、
裁判所を通して債権者(お金を貸している人や会社)と話し合い、
返済条件を見直す制度です。
裁判所の「調停委員」が間に入り、
借金の利息や返済期間を交渉してくれるため、
本人が直接、金融機関とやり取りする必要がありません。
イメージとしては、
弁護士に依頼する自己破産や個人再生ほど大げさではない。
しかし任意整理よりは公的で、
裁判所が関わる分、合意内容に強制力がある。
という中間的な位置づけです。
特定調停の手続きは、次のように進みます。
申立て
- 借金をしている人(申立人)が、
自分の住所地を管轄する簡易裁判所に申立書を提出します。
- 申立書には、借金の金額・貸している相手・返済状況などを記入します。
- 手数料は数千円程度と安く済みます。
- 裁判所で、調停委員(通常は法律や金融の経験者)と面談し、
借金状況や収入・支出を詳しく説明します。
- 調停委員が間に入って、債権者と返済条件を交渉します。
- 例えば、利息のカット・返済期間の延長・
毎月の返済額の減額などが話し合われます。
- 双方が合意すれば、調停成立となり、
その内容が「調停調書」として裁判所に記録されます。
- この調書は判決と同じ効力があるため、
もし約束通り返済しなければ、
給料差押えなどが可能になります。
特定調停には、次のような利点があります。
弁護士に依頼する必要がなく、
裁判所の費用だけで手続き可能(数千円〜1万円程度)。
書類作成や交渉は調停委員がサポートしてくれるため、
法律知識がなくても対応できる。
過去の事例では、
将来の利息がゼロになるケースも多い。
調停委員が間に入るため、
精神的負担が少ない。
合意内容が調停調書に記載されることで、
返済計画が法的に担保される。
一方で、注意すべき点もあります。
手続き後、約5年間は
新たなローンやクレジットカードが使えなくなります。
一部の借金だけを対象にすることは原則不可。
任意整理と違って裁判所を通すとはいえ、
強制的に和解させることはできません。
自分で行動する必要がある
弁護士に依頼しない場合、自分で申立書を作成し、
期日に裁判所へ行く必要があります。
債務整理には、主に次の4つの方法があります。
特定調停は、
1.「自己破産まではしたくない」
2.「弁護士費用は払えない」
3.「裁判所の力で返済条件を変えたい」
という人に向いています。
まとめると、
特定調停は費用を抑えて
裁判所の力を借りられる中間的な債務整理です。
ただし、手続きや裁判所への出頭は自分で行う必要があるため、
ある程度の準備や時間は必要です。
「借金が返せる見込みはあるけれど、
今の条件では厳しい」という状況なら、
有力な選択肢となります。