特定調停(とくていちょうてい)とは、借金の返済で困っている人が、
裁判所を通して債権者(お金を貸している人や会社)と話し合い、
返済条件を見直す制度です。
裁判所の「調停委員」が間に入り、
借金の利息や返済期間を交渉してくれるため、
本人が直接、金融機関とやり取りする必要がありません。
■ 特定調停は「裁判所を使う任意整理」
特定調停は、債務整理の中でも「任意整理」に近い手続きです。
ただし、任意整理が弁護士や司法書士が代理で交渉するのに対し、
特定調停は裁判所の調停委員が仲介してくれる点が異なります。
◎ 特徴まとめ
手続きは簡単で、弁護士に依頼しなくてもOK
費用が安い(1社あたり数百円〜千円程度の手数料)
返済期間を延ばしたり、利息をカットできる
裁判所が関わるため、債権者が無視できない
つまり、費用を抑えて借金を減らしたい人に向いている制度です。
■ 特定調停の仕組みと流れ(図解)
① 裁判所に申立て(自分でできる)
↓
② 調停委員が選任される
↓
③ 裁判所で債権者と話し合い(1〜2回程度)
↓
④ 返済計画を合意
↓
⑤ 合意内容に基づいて返済スタート
調停委員が間に入り、借金をした本人と債権者の間で話し合いを進めます。
返済可能な範囲での支払いプランを作成し、合意が成立すれば将来の利息がカットされ、返済が現実的になります。
■ 特定調停でできること・できないこと
内容特定調停でできること備考
利息のカット〇将来の利息はカット可能
元金の減額△原則として減らないが、分割期間延長は可能
取り立ての停止〇申立て後は基本的に督促が止まる
ブラックリスト登録〇他の債務整理と同様、信用情報に記録される
財産の処分✕自己破産のような財産没収はなし
■ 特定調停を選ぶメリット
弁護士費用がかからない(手続きは自分でできる)
裁判所に申立てるだけなので、数千円の費用で済みます。
借金の利息をカットできる
将来の利息が免除されるため、返済総額が軽くなります。
返済期間を延ばせる
3〜5年ほどの分割返済に変更できるため、毎月の負担を減らせます。
裁判所が関与する安心感
調停委員が中立の立場でサポートしてくれるため、公平な話し合いが可能です。
■ 特定調停のデメリット・注意点
もちろん、特定調停にも注意が必要です。
手続きを自分で行うため、書類準備や交渉が大変
元金は減らないため、返済能力がない人には向かない
信用情報(ブラックリスト)に登録されるため、数年間はローンが組めない
特に、「すでに返済がまったくできない状態」の場合は、
特定調停ではなく個人再生や自己破産を検討した方がよい場合もあります。
■ 特定調停を利用すべき人の特徴
次のような人には、特定調停が向いています。
借金が100万円〜300万円程度で、返済はできるが利息が重い
弁護士に頼むお金がない
家族や職場に知られずに解決したい
自分で裁判所に行くことができる
■ 特定調停の費用と期間
項目内容
費用1社あたり500円〜1,000円前後(印紙・切手代)
期間約1〜3か月で完了
裁判所借金した本人の住所地を管轄する簡易裁判所
費用が安く、スピーディーに進む点が特定調停の大きな魅力です。
■ 特定調停で借金を整理した後の生活
調停成立後は、合意した返済計画に従って支払いを継続します。
その間、遅延や滞納がない限り、再び取り立てが行われることはありません。
また、完済すれば信用情報も5年程度で回復し、再びクレジットカードやローンを利用できるようになります。
■ まとめ:特定調停は「自力でできる債務整理」
特定調停は、
裁判所が仲介してくれる
費用が安い
利息をカットできる
という3つの特徴を持つ、借金返済を立て直すための制度です。
弁護士に頼まずに済むため、費用を抑えたい人には特におすすめ。
ただし、返済が全くできないほどの状態なら、自己破産など他の債務整理も検討しましょう。
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