特定調停について

特定調停は裁判所を介して債権の減額を交渉する制度です。本人申請のために、時間を労力を必要とします。利用者数が少ない制度です。

本人申請の「特定調停」で安く解決?

1. 特定調停とは?


特定調停(とくていちょうてい)とは、借金の返済で困っている人が、
裁判所を通して債権者(お金を貸している人や会社)と話し合い、
返済条件を見直す制度です。


裁判所の「調停委員」が間に入り、
借金の利息や返済期間を交渉してくれるため、
本人が直接、金融機関とやり取りする必要がありません。


イメージとしては、
弁護士に依頼する自己破産や個人再生ほど大げさではない。


しかし任意整理よりは公的で、
裁判所が関わる分、合意内容に強制力がある。


という中間的な位置づけです。


2. 利用方法と流れ


特定調停の手続きは、次のように進みます。


申立て
 - 借金をしている人(申立人)が、
  自分の住所地を管轄する簡易裁判所に申立書を提出します。


 - 申立書には、借金の金額・貸している相手・返済状況などを記入します。


 - 手数料は数千円程度と安く済みます。


調停委員との面談

 - 裁判所で、調停委員(通常は法律や金融の経験者)と面談し、
  借金状況や収入・支出を詳しく説明します。


債権者との話し合い

 - 調停委員が間に入って、債権者と返済条件を交渉します。
 - 例えば、利息のカット・返済期間の延長・
  毎月の返済額の減額などが話し合われます。


調停成立

 - 双方が合意すれば、調停成立となり、
  その内容が「調停調書」として裁判所に記録されます。


 - この調書は判決と同じ効力があるため、
  もし約束通り返済しなければ、
  給料差押えなどが可能になります。


3. 特定調停のメリット


特定調停には、次のような利点があります。


費用が安い

  弁護士に依頼する必要がなく、
  裁判所の費用だけで手続き可能(数千円〜1万円程度)。


自分で手続きできる

  書類作成や交渉は調停委員がサポートしてくれるため、
  法律知識がなくても対応できる。


利息や遅延損害金のカットが期待できる

  過去の事例では、
  将来の利息がゼロになるケースも多い。


債権者と直接顔を合わせなくて良い

  調停委員が間に入るため、
  精神的負担が少ない。


裁判所の記録として残るため、約束が守られやすい

  合意内容が調停調書に記載されることで、
  返済計画が法的に担保される。


4. 特定調停のデメリット

一方で、注意すべき点もあります。


信用情報(ブラックリスト)に載る

  手続き後、約5年間は
  新たなローンやクレジットカードが使えなくなります。


すべての債権者と調停する必要がある

  一部の借金だけを対象にすることは原則不可。


債権者が応じない場合もある

  任意整理と違って裁判所を通すとはいえ、
  強制的に和解させることはできません。


自分で行動する必要がある
  弁護士に依頼しない場合、自分で申立書を作成し、
  期日に裁判所へ行く必要があります。


5. 他の債務整理方法との違い

債務整理には、主に次の4つの方法があります。



特定調停は、


1.「自己破産まではしたくない」


2.「弁護士費用は払えない」


3.「裁判所の力で返済条件を変えたい」


という人に向いています。


まとめると、
特定調停は費用を抑えて
裁判所の力を借りられる中間的な債務整理です。


ただし、手続きや裁判所への出頭は自分で行う必要があるため、
ある程度の準備や時間は必要です。


「借金が返せる見込みはあるけれど、
今の条件では厳しい」という状況なら、
有力な選択肢となります。